3月27日、ウェンブリー・スタジアムに80,581人が詰めかけたイングランドvsウルグアイの親善試合は、1-1のドローに終わった。しかし、この試合の主役はスコアではなく、一人の選手を巡るドラマだった。4年ぶりに代表復帰したベン・ホワイト(アーセナル)が先制ゴールを決めながらも、自らのファウルでPKを献上し、さらにウェンブリーの観衆からブーイングを浴びるという、波乱に満ちた90分間を過ごした。

大会国際親善試合
対戦イングランド 1 - 1 ウルグアイ
日時2026年3月27日(現地時間)
会場ウェンブリー・スタジアム(ロンドン)
観客数80,581人
得点者ホワイト(81分)、バルベルデ(90+4分・PK)

ローテーション色の強いスタメン

トゥヘル監督は日本戦に主力を温存する方針を明示し、ウルグアイ戦は「第1キャンプ」のメンバーで臨んだ。ハリー・ケイン、ブカヨ・サカ、デクラン・ライス、ジュード・ベリンガムらはベンチ外。代わりに先発を任されたのは以下の11人だ。

ポジション選手所属
GKジェームズ・トラフォードマンチェスター・C
RBティノ・リヴラメントニューカッスル
CBハリー・マグワイアマンチェスター・U
CBフィカヨ・トモリACミラン
LBジェド・スペンストッテナム
CMジェームズ・ガーナーエバートン
CMジョーダン・ヘンダーソン(C)ブレントフォード
RWノニ・マドゥエケアーセナル
AMフィル・フォーデンマンチェスター・C
LWマーカス・ラッシュフォードバルセロナ
CFドミニク・ソランケトッテナム

GKのトラフォード(マンチェスター・C)とMFのガーナー(エバートン)はともにA代表デビュー戦。キャプテンマークはヘンダーソンが巻いた。

膠着した前半——両チーム決め手を欠く

前半はイングランドがボールを握る時間が長かったものの、最終局面での精度を欠いた。フォーデンがトップ下に入ったが、周囲との連携が噛み合わず、ソランケも孤立する場面が目立った。ウルグアイはバルベルデとウガルテの中盤コンビでイングランドの攻撃を遮断し、カウンターを窺う展開。しかし双方ともに決定機を作れず、スコアレスで折り返した。

後半——ベン・ホワイトの光と影

後半からイングランドはカードを切り始め、ベン・ホワイト、コビー・メイヌー、ルイス・ホール、ハーヴィー・バーンズらを投入。ここから試合は動き始める。

POINT 1 4年ぶりの代表復帰——ホワイトを巡る「もう一つのストーリー」

ベン・ホワイトは2022年カタールW杯で「個人的な理由」により大会途中で帰国。以来、ギャレス・サウスゲート前監督の下では代表招集を辞退し続けていた。トゥヘル就任後に復帰が実現したが、ウェンブリーの一部ファンは彼を許していなかった。途中出場で名前がコールされた瞬間、スタンドからはブーイングが響いた。

しかし81分、そのホワイトがドラマを演出する。右サイドからの折り返しに対し、ファーサイドに走り込んだホワイトが冷静にタップイン。代表初ゴールを記録した。だが、歓喜の瞬間にもブーイングが混じるという異様な光景だった。

90+4分——VAR判定とバルベルデのPK

試合はそのまま1-0でイングランドが逃げ切るかと思われたが、後半アディショナルタイム4分にドラマが待っていた。ホワイトがウルグアイFWビニャスと接触。主審は当初ファウルを取らなかったが、VARチェックの結果PKと判定。フェデリコ・バルベルデが冷静にPKを沈め、1-1のドローに持ち込んだ。

先制点を決め、PK献上の元凶にもなったホワイトは、この一試合で「ヒーローとヴィラン」の両面を演じることになった。

POINT 2 ウガルテの「2枚イエロー」退場取り消し——審判団が混乱

この試合ではもう一つの珍事件が起きた。ウルグアイMFマニュエル・ウガルテ(マンチェスター・U)が70分と81分の2度にわたりイエローカードを提示されながら、退場にならなかったのだ。試合後、1枚目のカードはウガルテではなくヒメネスに対するものだったと説明されたが、映像上はウガルテに提示されているように見え、イアン・ライトら解説者からも「審判が行き当たりばったりだ」と批判が噴出。マグワイアも「2枚目が取り消されたと聞いたが、初めて聞く話だ」と困惑を隠さなかった。

数字で見る試合

スタッツイングランドウルグアイ
ボール支配率54.1%45.9%
シュート数139
枠内シュート51
コーナーキック70
ファウル数712
イエローカード12
セーブ数04

スタッツではイングランドが圧倒しているが、枠内シュート5本に対してGKのセーブが0(すべてゴールに入ったかポスト・バーに当たった)という数字が示す通り、チャンスの質にはばらつきがあった。一方、ウルグアイは枠内1本でPKによる1ゴールと、少ないチャンスを確実にモノにした。

日本代表にとっての注目ポイント

この試合から日本が読み取るべき情報は多い。

まず、イングランドの「控え組」のクオリティ。フォーデン、ラッシュフォード、マグワイア、トモリ、ヘンダーソンらは、日本戦では途中出場かベンチの可能性が高いが、いずれもプレミアリーグの一線級。日本が対峙する「主力組」はさらに上のレベルにある。

次に、イングランドの弱点として浮かび上がったのが「前半の停滞感」。ローテーションメンバーとはいえ、最終局面での連携不足は課題だった。日本が前半からハイプレスを仕掛け、イングランドのビルドアップを乱せれば、チャンスは十分にある。

TAKEAWAY ウルグアイ戦から日本が学ぶべきこと

(1)イングランドの「控え」でもハイレベル:フォーデン、ラッシュフォード、マグワイアが控え組という選手層の厚さ。日本戦の主力組はさらに強力。
(2)前半に仕掛ける価値あり:ウルグアイ戦の前半は攻撃が停滞。日本がハイプレスで主導権を握れば勝機が生まれる。
(3)セットプレーとVARへの備え:PK献上の場面のように、VAR判定で試合が動く可能性。不用意なファウルは禁物。