191cm——この数字を聞いて、ポストプレーヤーを想像するだろうか。足元の技術に乏しい空中戦専門のターゲットマンを思い浮かべるかもしれない。後藤啓介は、そのすべての先入観を裏切る。高さに加え、スピード、そして「191cmとは思えない」繊細なファーストタッチを持つ。日本サッカーが長年渇望してきた「規格外のストライカー」が、ベルギーの地で着実に牙を研いでいる。

名前後藤 啓介(ごとう けいすけ)
生年月日2005年6月3日(20歳)
出身地静岡県浜松市
身長/体重191cm / 82kg
ポジションFW(CF)
現所属シント・トロイデン(ベルギー1部/アンデルレヒトからレンタル)
代表歴日本代表 A代表2試合(2025年〜)

ジュビロ磐田——「高原以来の逸材」

静岡県浜松市で育った後藤は、ジュビロ磐田U-15からU-18へと順調に昇格。2022年7月、天皇杯4回戦の東京ヴェルディ戦でトップチームデビューを果たした。

そして2023年2月18日、J2リーグ開幕戦のファジアーノ岡山戦。この日、後藤は2得点を挙げてプロ初ゴールを記録した。17歳260日でのJリーグ得点は、ジュビロ磐田のクラブ史上最年少記録——高原直泰が25年間保持していた記録を大幅に更新するものだった。J2で33試合7得点を記録し、チームのJ1昇格に貢献。「高原以来の逸材」と呼ばれ始めた背番号が、ベルギーへの切符を掴んだのは必然だった。

ベルギーで磨く「欧州基準のCF」

2023年11月、ベルギーの名門RSCアンデルレヒトがレンタルで後藤を獲得。まずはセカンドチーム(チャレンジャー・プロリーグ)で経験を積み、2シーズンで約30試合13得点を記録した。2025年1月にはトップチームのベルギー1部でもデビューし、KVメヘレン戦で初ゴール。さらにヨーロッパリーグでもゴールネットを揺らした。

2024年12月にはアンデルレヒトが約110万ユーロで完全移籍を確定。そして2025年8月、出場機会を求めてシント・トロイデンへレンタル移籍。ベルギー1部のフルシーズンを主力として戦い、2026年3月時点で10得点5アシストを記録している。

POINT 1 「191cmの技巧派」——日本が待ち望んだ規格外のCF像

後藤啓介の最大の武器は、191cmの大型FWでありながら足元の技術が極めて高いことだ。ヘディングでの得点力はもちろん、地上戦でもスピードとファーストタッチの質でDFを置き去りにする。ジュビロ磐田時代からジェイ・ボスロイドのヘディングを参考にしたと語る一方で、「典型的なターゲットマンにはなりたくない」という意志が、この選手の多面的な成長を支えている。

POINT 2 20歳でベルギー1部10得点——急成長の適応曲線

シント・トロイデンでのレンタル1年目で10得点5アシストという数字は、20歳のストライカーとしては特筆すべき結果だ。アンデルレヒトのセカンドチームで下積みを経てから1部に上がるという段階的な適応プロセスが奏功した。欧州のフィジカルコンタクトの強度に慣れ、空中戦の勝率を上げながらも持ち前のスピードを失わない。この「高さ+速さ+技術」の三拍子は、W杯本番で対戦国のDFにとって未知の脅威となる。

日本代表——W杯の切り札候補

2025年11月、キリンチャレンジカップのガーナ戦でA代表初招集・初出場。2026年3月のイギリス遠征にも28名のメンバーに選ばれ、W杯本大会への扉は確実に開きつつある。

上田綺世がエースとして君臨する日本代表FW陣において、後藤は「異なるオプション」を提供できる存在だ。空中戦での圧倒的な強さ、ポストプレーからの展開力、そしてクロスに対するヘディングの精度——上田とは異なるタイプのCFとして、試合の局面を変える切り札になり得る。

POINT 3 W杯26人枠に食い込めるか——「高さ」という戦術的武器

日本代表には191cmのCFがいない。後藤啓介が26人枠に入れば、リードされた終盤にパワープレーで投入する選択肢が生まれる。W杯という短期決戦において「タイプの異なるFW」をベンチに置く戦術的価値は極めて高い。高原直泰以来のジュビロ育ちのFWが、日本のW杯史に新たな1ページを刻む可能性を秘めている。

選手経歴

期間所属クラブリーグ出場得点
2022-23ジュビロ磐田J2リーグ33試合7得点
2023-25アンデルレヒト(B・1部)ベルギー40試合16得点
2025-26シント・トロイデンベルギー1部25試合10得点
SUMMARY

静岡県浜松市出身の後藤啓介は、ジュビロ磐田で高原直泰の最年少得点記録を塗り替え、J2で33試合7得点を記録した191cmの大型ストライカーだ。2023年にアンデルレヒトへ渡り、セカンドチームで下積みを重ねた後、2025-26シーズンはシント・トロイデンで10得点5アシストと飛躍。20歳にして「高さ・速さ・技術」を兼ね備えた規格外のCFとして、2026年W杯の26人枠に食い込む可能性を持つ。日本代表には稀有な大型FWの存在は、戦術的なオプションとして計り知れない価値がある。