2022年5月18日、セビージャ。UEFAヨーロッパリーグ決勝。アイントラハト・フランクフルトがPK戦の末にグラスゴー・レンジャーズを下した夜、優勝トロフィーを掲げる選手たちの中に鎌田大地がいた。大会13試合で5得点——その活躍なしにフランクフルトの戴冠はなかった。
3年後の2025年5月17日、ウェンブリー。FAカップ決勝。クリスタルパレスがマンチェスター・シティを1-0で下す番狂わせを演じた試合で、鎌田は決勝ゴールの起点となるプレーで貢献した。
ヨーロッパの2つの異なる舞台で、タイトルの瞬間に立ち会った日本人——鎌田大地は、紛れもなく「大舞台の男」だ。
| 名前 | 鎌田 大地(かまだ だいち) |
|---|---|
| 生年月日 | 1996年8月5日(29歳) |
| 出身地 | 愛媛県伊予市 |
| 身長/体重 | 180cm / 76kg |
| ポジション | MF(攻撃的MF/セントラルMF) |
| 現所属 | クリスタルパレス(プレミアリーグ) |
| 代表歴 | 日本代表 A代表47試合12得点(2019年〜) |
サガン鳥栖——九州が生んだ司令塔
愛媛県伊予市で生まれた鎌田は、東福岡高校を経て2015年にサガン鳥栖に加入。J1で54試合13得点を記録し、18歳でプロデビューした瞬間から攻撃的MFとしての才能は明らかだった。ボールを受けてからの判断の速さ、スルーパスの精度、そして自らゴールを狙う積極性——鳥栖の小さなスタジアムから、世界への扉が開いた。
フランクフルト6シーズン——EL制覇の立役者
2017年夏、ドイツ・ブンデスリーガのアイントラハト・フランクフルトへ移籍。初年度はベルギーのシント・トロイデンへレンタルされ、21試合12得点と爆発的な結果を残した。
フランクフルトに復帰してからはレギュラーとして定着。ブンデスリーガ通算100試合20得点25アシストを記録し、チームの攻撃の中核を担った。特に2022-23シーズンはリーグ25試合9得点6アシストとキャリアハイを更新。だがそれ以上にインパクトを残したのが、2021-22シーズンのUEFAヨーロッパリーグだ。大会13試合5得点でチームの優勝に大きく貢献し、EL決勝の舞台で日本人初のトロフィーを掲げた。
フランクフルトでのUEFAヨーロッパリーグ優勝(2022年)と、クリスタルパレスでのFAカップ優勝(2025年)。鎌田は異なるクラブで2つの欧州タイトルに関わった数少ない日本人選手だ。ELでは大会5得点で優勝の立役者となり、FAカップ決勝ではマンチェスター・シティ相手に決勝点の起点となった。「勝負どころで結果を出す」経験値は、W杯という最高の舞台で必ず活きる。
ラツィオ、そしてプレミアリーグへ
2023年夏、フリートランスファーでセリエAのSSラツィオへ移籍。しかし17試合2得点にとどまり、1シーズンで退団。2024年7月、プレミアリーグのクリスタルパレスへ移籍した。
パレスでは2024-25シーズンにFAカップ優勝を経験。2025-26シーズンはプレミアリーグ20試合1得点2アシスト、カンファレンスリーグ9試合2得点と着実に出場機会を重ねている。プレミアリーグの強度の中で、鎌田の戦術的知性はさらに磨かれた。
日本代表——攻撃の「頭脳」
2019年3月のコロンビア戦でA代表デビュー。カタールW杯では4試合に出場し、ドイツ戦・スペイン戦の歴史的勝利にも2列目の一角として貢献した。
A代表通算47試合12得点。ボランチからトップ下まで幅広いポジションをこなし、攻撃に創造性をもたらす「頭脳」として欠かせない存在だ。
鎌田の真骨頂は、相手DFとMFの間(ライン間)でボールを受ける技術にある。プレスを受けても冷静にボールをキープし、味方の動き出しを見逃さない視野の広さと、ワンタッチで決定的なスルーパスを出す判断速度。フランクフルト時代にオリバー・グラスナー監督のハイプレスシステムで磨かれたプレス耐性は、プレミアリーグでも十分に通用している。W杯では相手の守備ブロックを「知性」で切り崩す役割が期待される。
J1(鳥栖)、ベルギー(シント・トロイデン)、ブンデスリーガ(フランクフルト)、セリエA(ラツィオ)、プレミアリーグ(クリスタルパレス)——鎌田は5つの異なるリーグ文化を経験した。それぞれの戦術・インテンシティ・スタイルに適応してきた柔軟性は、W杯のように対戦相手が毎試合変わる短期決戦において大きなアドバンテージとなる。攻撃的MFとしてもセントラルMFとしても機能する汎用性は、森保監督の戦術オプションを広げる。
選手経歴
| 期間 | 所属クラブ | リーグ | 出場 | 得点 |
|---|---|---|---|---|
| 2015-17 | サガン鳥栖 | J1リーグ | 54試合 | 13得点 |
| 2017-23 | フランクフルト | ブンデスリーガ | 100試合 | 20得点 |
| 2018-19 | シント・トロイデン(レンタル) | ベルギー1部 | 21試合 | 12得点 |
| 2023-24 | SSラツィオ | セリエA | 17試合 | 2得点 |
| 2024-26 | クリスタルパレス | プレミアリーグ | 34試合 | 1得点 |
愛媛県伊予市出身の鎌田大地は、サガン鳥栖からドイツ、ベルギー、イタリア、イングランドと5つのリーグを渡り歩いた攻撃的MFだ。フランクフルトではブンデスリーガ100試合20得点を記録し、2022年UEFAヨーロッパリーグ優勝に大会5得点で貢献。クリスタルパレスでは2025年FAカップ優勝を経験した。日本代表ではA代表47試合12得点を記録し、カタールW杯では歴史的なドイツ・スペイン撃破にも貢献。ライン間でのボールキープ力と決定的なスルーパスを武器に、2026年北中米W杯では日本の攻撃を操る「頭脳」としての活躍が期待される。