「常に自分の置きどころにボールを置くことを大切にしています」
三笘薫(28)はドリブルの秘訣をそう語る。その「置きどころ」とは右足のつま先の真ん中——たった数センチの話なのに、それが世界屈指のDFたちを翻弄し続けている。
プロフィール
| 名前 | 三笘 薫(みとま かおる) |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年5月20日(28歳) |
| 出身地 | 神奈川県川崎市 |
| 身長 | 178cm |
| ポジション | MF/FW(左ウィング) |
| 現所属 | ブライトン(イングランド) |
| 代表歴 | 日本代表 A代表38試合9得点(2021年〜) |
川崎で花開いた才能
三笘の原点は川崎フロンターレだ。小学校の卒業文集に「憧れの選手は中村憲剛」と書いた少年は、川崎の下部組織で育ち、高校3年次にはトップチームへの昇格を打診された。しかし彼が選んだのは、筑波大学への進学だった。
大学2年次に天皇杯でベガルタ仙台から2得点を挙げ、ユニバーシアードでは全日本大学選抜の一員として金メダルを獲得。充実した4年間を経て2020年、満を持して川崎フロンターレに加入した。
プロ1年目の結果は衝撃的だった。J1リーグ新人記録となる13ゴールを記録し、チームをJ1優勝へと導く。翌2021年の東京五輪3位決定戦・メキシコ戦では鮮やかなドリブル突破からゴールを決めた。その直後、ブライトンへの移籍が発表された。
プレミアへの道:ベルギーで磨いた牙
イギリスの労働許可証の関係でベルギーのロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズへ期限付き移籍した三笘は、1年間でリーグ27試合に出場し7得点を記録する。
特筆すべきはカップ戦での活躍だ。2点ビハインドかつ数的不利の状況でハットトリックを達成し、チームを逆転勝利へと導いた。そのメンタルの強さは、その後のプレミアリーグでさらに輝くことになる。
ブライトンでの衝撃:日本人の限界を塗り替えた
2022年夏にブライトンへ復帰した三笘は、プレミアリーグで次々と歴史を刻んでいく。
2022-23シーズンには7ゴールを挙げ、日本人選手のプレミアリーグ1シーズン最多得点記録を更新。翌シーズンにはウルヴァーハンプトン戦で4人のDFを個人で抜き去って決めたゴールが、日本人初のプレミアリーグ月間最優秀ゴールに選出された。2024-25シーズンにはリーグ10得点を達成し、日本人初のプレミアリーグ2桁得点者となった。
「なぜドリブルは抜けるのか」——筑波大学で自らのプレーを学術的に分析した三笘。感覚だけに頼らず、科学的にプレーを言語化できることが、彼の進化を支え続けている。
2025-26シーズン、三笘は今季プレミアリーグ3番目の最速選手に選出されるデータも記録。1対1で仕掛けて縦に突破し、右足アウトサイドで正確なクロスを送るプレーは「芸術の域」と評される。ブライトンの指揮官も「日本の若手のロールモデルだ」と最大限の賛辞を贈った。
2026年3月のアーセナル戦で左足首を痛めるアクシデントがあったものの、指揮官は「大きな怪我ではない」とコメント。3月のイギリス遠征には無事招集され、W杯本番に向けてコンディションを整えている。日本代表左サイドの核として、三笘の存在感は絶対だ。
選手経歴
| 年度 | 所属クラブ | 出場 | 得点 |
|---|---|---|---|
| 2020-21 | 川崎フロンターレ(J1) | 31試合 | 13得点 |
| 2021-22 | ユニオンSG(ベルギー) | 27試合 | 7得点 |
| 2022-23 | ブライトン(イングランド) | 29試合 | 7得点 |
| 2023-24 | ブライトン(イングランド) | 31試合 | 8得点 |
| 2024-25 | ブライトン(イングランド) | 36試合 | 10得点 |
| 2025-26 | ブライトン(イングランド) | 出場中 | - |
川崎の少年が中村憲剛に憧れた日から、十数年が経った。今や三笘薫自身が、無数の子どもたちの「憧れの選手」になっている。2026年北中米W杯——その舞台で三笘がどんな軌跡を描くか、世界中のサッカーファンが注目している。