3月17日、リスボン。スポルティングのホームスタジアム「ホセ・アルバラーデ」に轟く歓声の中、守田英正は後半23分までピッチに立ち続けていた。チャンピオンズリーグ・ラウンド16を突破し、クラブ史上に名を刻んだ夜——その2日後に発表された日本代表メンバーに、守田の名前はなかった。
CLベスト8の立役者、しかし代表選外
スポルティングのCLベスト8進出において、守田はグループステージから欠かせない存在だった。中盤の底でボールを捌き、相手の攻撃の芽を摘み、チーム全体のリズムを作る——地味だが不可欠な仕事を高い水準で遂行した。ポルトガルメディア「A BOLA」は守田を「ボールをいつどこで出すべきかを的確に判断する知性が平均以上」と評した。
それだけに、代表選外の報は衝撃だった。
守田英正の最大の武器はポジショニングとパスの出口選択の速さだ。ボールを持ってからの判断が0.1秒単位で正確であり、チーム全体をスムーズに機能させる「潤滑油」的役割を担える。これはCLベスト8に貢献した事実が証明している。A BOLAの評価「ボールをいつどこで出すべきかを的確に判断する知性が平均以上」という言葉が、守田の本質を表している。
今の日本代表ボランチ陣は史上最強レベルだ。鎌田大地(プレミアリーグ・クリスタルパレス)、佐野海舟(ブンデスリーガ・マインツ)、田中碧(リーズ)、藤田譲瑠チマ(シント・トロイデン)——いずれも欧州で実戦経験を積む実力者揃い。守田が外れたのは「実力不足」ではなく、「競争の激しさ」ゆえの構造的帰結だ。
森保監督の選考哲学——「目先の成績」より「チームへの統合性」
森保監督は会見で「そこには競争がある」と述べた。この言葉の裏には、「CLで活躍した守田より、リーズで出場機会が減少している田中碧を選ぶ」という判断がある。ファンの間では「なぜ守田を外すのか」という反応が広がったが、これは「目先の成績よりもチームへの統合性を重視する」という森保監督の一貫した選考哲学の表れとも読める。
守田は「いつでも入ってこられる」戦力だからこそ、今は別の選手を試す優先順位があるというロジックだ。3月の遠征は最後の「テストの場」であり、既に実力が証明されている守田よりも、まだ見極めが必要な選手に出場機会を与えたい——そう読み解くこともできる。
「守田英正なしのW杯」はあり得るか
今後のスケジュールを考えると、W杯本番のメンバー発表(5月頃)まで残り約2カ月。守田が5月まで高いパフォーマンスを維持し続ければ、選外のリスクはほぼないと見ていい。問題は「競争」の激しさだ——遠藤航・鎌田大地・佐野海舟・田中碧・藤田譲瑠チマが全員健康であれば、26人枠のボランチは最大でも4名。誰かが外れる残酷な競争が続く。
CLベスト8の実績、ポルトガルリーグでの安定した出場、そして大舞台での経験値。これらを総合すると、守田がW杯本大会メンバーから外れる可能性は低い。しかし3月遠征の結果次第では、ボランチの序列が変動する可能性もゼロではない。守田にとっては「結果で証明し続ける」以外に道はない。
| 選手 | 所属 | 今季成績 | 3月遠征 |
|---|---|---|---|
| 遠藤航 | リヴァプール | プレミア25試合 | 招集外 |
| 鎌田大地 | クリスタルパレス | プレミア28試合4得点 | 招集 |
| 守田英正 | スポルティング | リーガ24試合・CL8試合 | 選外 |
| 佐野海舟 | マインツ | ブンデス26試合 | 招集 |
| 田中碧 | リーズ | チャンピオンシップ20試合 | 招集 |
| 藤田譲瑠チマ | シント・トロイデン | ベルギー27試合3得点 | 招集 |
CLベスト8に導いた男が、代表のユニフォームを着られなかった。しかし守田英正のW杯への道は閉ざされていない。残り2カ月、スポルティングでの戦いが彼の運命を決める——その答えは5月に出る。