2017年、インド。FIFA U-17ワールドカップの舞台で、16歳の少年がホンジュラス相手にハットトリックを達成した。日本人選手としてFIFA主催大会初のハットトリック——中村敬斗の名前が世界に知れ渡った最初の瞬間だった。
あれから9年。左サイドから中央へ切り込み、右足で叩き込む。そのゴールパターンは少年時代から変わらない。ただし、その威力と精度は比較にならないほど進化した。
| 名前 | 中村 敬斗(なかむら けいと) |
|---|---|
| 生年月日 | 2000年7月28日(25歳) |
| 出身地 | 千葉県我孫子市 |
| 身長/体重 | 181cm / 75kg |
| ポジション | FW/MF(左ウイング) |
| 現所属 | スタッド・ランス(フランス・リーグ2) |
| 代表歴 | 日本代表 A代表22試合10得点(2023年〜) |
ガンバ大阪ユースから欧州への「3カ国修業」
ガンバ大阪のアカデミーで育った中村は、2017年にトップチーム昇格。J1で24試合1得点を記録するも、18歳でオランダのFCトゥエンテへレンタル移籍し欧州への一歩を踏み出した。エールディヴィジで17試合4得点と一定の結果を残すも、その後はベルギーのシント・トロイデン、オーストリアのFCジュニアーズOOとレンタルが続き、定位置を掴めない時期が続いた。
転機は2021年夏、オーストリア・ブンデスリーガのLASKへの移籍だった。2022-23シーズンにリーグ31試合14得点を記録し、リバプールなど欧州ビッグクラブからの関心を集めるほどのブレイクを果たした。
LASKでの2022-23シーズンは中村にとって転換点だった。オーストリア・ブンデスリーガで31試合14得点を記録し、左サイドからカットインしてシュートを決めるパターンを確立。リバプールなど欧州ビッグクラブの注目を集めた。ドリブルで仕掛けるだけでなく「自らゴールを奪う」ウイングとしての完成度が一段階上がった瞬間だ。右足の精度は高く、ペナルティエリア外からのミドルシュートも大きな武器となっている。
スタッド・ランスでのリーグアン挑戦
2023年8月、フランス・リーグアンのスタッド・ランスへ完全移籍。初年度は25試合4得点と適応に時間を要したが、2024-25シーズンにはリーグ32試合11得点と大幅に数字を伸ばした。
しかしチームはリーグ16位で入れ替え戦に敗れ、2025-26シーズンはリーグ2(フランス2部)で戦うことに。それでも中村はチームに残留し、リーグ2で22試合9得点とチーム内得点王としてプレー。「降格したから移籍する」という選択をしなかった姿勢は、クラブへのリスペクトと自身の成長への確信の表れだ。
日本代表——22試合10得点の破壊力
2023年3月のウルグアイ戦で代表デビュー。同年6月のトルコ戦では2得点を挙げ、A代表22試合で10得点という驚異的な得点率を誇る。得点率0.45はFW陣と比較しても突出した数字だ。
2024年1月のアジアカップではベトナム戦でペナルティエリア外からの強烈なシュートをゴール上隅に叩き込み、その得点力をアジアの舞台でも証明した。
A代表22試合10得点。この数字はポジションがウイングであることを考えると驚異的だ。中村敬斗は単にアシストを量産する従来型のウイングではなく、「自らゴールを奪う」タイプの攻撃者だ。左サイドからカットインして右足で叩き込むパターンに加え、ペナルティエリア内への飛び込み、ヘディングでの得点もある。この多彩さが、三笘薫とは異なるタイプの左サイドの選択肢として森保監督に重宝されている理由だ。
16歳でFIFA U-17 W杯のピッチに立ち、日本人初のハットトリックを達成した中村は、誰よりも早く「世界の舞台」を経験した選手だ。その後オランダ、ベルギー、オーストリア、フランスと4カ国を渡り歩き、それぞれのリーグで結果を残してきた。2026年北中米W杯は、少年時代からの夢だった「A代表でのW杯」。25歳の左足が、世界最高峰の舞台でどんなゴールを刻むか。
選手経歴
| 期間 | 所属クラブ | リーグ | 出場 | 得点 |
|---|---|---|---|---|
| 2017-19 | ガンバ大阪 | J1リーグ | 24試合 | 1得点 |
| 2019-20 | FCトゥエンテ | エールディヴィジ | 17試合 | 4得点 |
| 2021-23 | LASK | オーストリア1部 | 53試合 | 20得点 |
| 2023-25 | スタッド・ランス | リーグアン | 57試合 | 15得点 |
| 2025-26 | スタッド・ランス | リーグ2 | 22試合 | 9得点 |
千葉県我孫子市出身の中村敬斗は、ガンバ大阪ユースから欧州4カ国を渡り歩いた左ウイングだ。16歳でU-17 W杯日本人初のハットトリックを達成し、LASKで14得点のブレイクシーズンを経てスタッド・ランスへ。リーグアン2年目には32試合11得点を記録した。日本代表ではA代表22試合10得点と驚異的な得点率を誇り、三笘薫とは異なるタイプの「ゴールを奪うウイング」として重宝される。2026年北中米W杯では、左サイドからの得点力で日本の攻撃に厚みを加える存在として期待される。