ブンデスリーガ2024-25シーズン、あるスタッツが日本のサッカーファンの間で話題になった。デュエル勝利数209回、走行距離394km——いずれもリーグ1位。その数字の持ち主が、J2の町田ゼルビアから鹿島アントラーズを経てわずか2年前にドイツへ渡った25歳の日本人だと知れば、驚く人も多いだろう。

佐野海舟。遠藤航の後継者と呼ばれるこの男は、ボールを奪う「技術」においてブンデスリーガ屈指の水準に達している。

名前佐野 海舟(さの かいしゅう)
生年月日2000年12月30日(25歳)
出身地岡山県津山市
身長/体重176cm / 67kg
ポジションMF(守備的MF/セントラルMF)
現所属1.FSVマインツ05(ブンデスリーガ)
代表歴日本代表 A代表11試合(2023年〜)

町田ゼルビアから鹿島へ——J2で磨いた「奪う技術」

米子北高校から2019年にFC町田ゼルビアへ加入した佐野は、J2の舞台で4シーズンを過ごした。116試合7得点。華やかな舞台ではなかったが、ここで佐野は「ボールを奪う技術」の基礎を徹底的に磨いた。

2023年に鹿島アントラーズへ移籍すると、J1の舞台でも即座に主力に定着。27試合1得点を記録し、守備的MFとしてチームの心臓部を担った。そのパフォーマンスが欧州の目に留まるのに、時間はかからなかった。

マインツで「リーグ1位」の衝撃

2024年7月、ブンデスリーガの1.FSVマインツ05へ移籍。移籍金は約250万ユーロ。初年度からスタメンに定着し、リーグ34試合に出場。デュエル勝利数209回と走行距離394kmでいずれもブンデスリーガ1位を記録するという衝撃的なデビューシーズンとなった。

マインツはこのシーズン6位(クラブ歴代最高レベル)でフィニッシュし、ヨーロッパの舞台への切符を手にした。佐野の貢献は数字以上に大きい。

2025-26シーズンもブンデスリーガ27試合に全試合先発。UEFAカンファレンスリーグでも8試合に出場し、欧州の舞台でも堂々とプレーしている。

POINT 1 「誘い込んで奪う」——力ではなく知性で勝つボール奪取

佐野のボール奪取の特徴は、闇雲にタックルに行くのではなく、相手を不利なポジションに「誘い込んで」からクリーンに奪うことだ。結果としてファウル数が少なく、奪った瞬間に縦パスを繰り出してカウンターの起点になれる。ブンデスリーガでデュエル勝利数1位を記録しながらも退場ゼロという事実が、その「知性的なボール奪取」の質を証明している。

POINT 2 兄弟で日本代表——佐野航大との「32年ぶりの兄弟選出」

弟の佐野航大(NECナイメーヘン)も2025年6月にA代表デビューを果たし、兄弟同時の代表選出は1993年の三浦知良・三浦泰年以来32年ぶりの快挙となった。岡山県津山市で育った兄弟が、それぞれオランダとドイツでプレーしながら日本代表の座を勝ち取った事実は、日本サッカーの育成ルートの多様性を示している。

日本代表——「遠藤航の後継者」

2023年11月のミャンマー戦でA代表デビュー。以降、W杯アジア最終予選やアジアカップにも出場し、通算11キャップを積み重ねている。

リバプールで長年日本代表の中盤を支えてきた遠藤航の後継者として、佐野への期待は大きい。遠藤と佐野のダブルボランチが実現すれば、世界でも屈指のボール奪取力を誇る中盤が完成する。

POINT 3 W杯の中盤を支える「盾」——マインツで培った欧州基準

マインツでブンデスリーガ全試合先発を果たし、カンファレンスリーグでも欧州の舞台を経験した佐野は、W杯本番で求められるインテンシティを日常的に体感している。遠藤航と組むダブルボランチ、あるいは遠藤の休息時のアンカーとして、佐野は日本代表の「守備の盾」を担える。J2から始まったキャリアが、わずか数年でW杯の中盤を任されるレベルに到達した成長曲線は驚異的だ。

選手経歴

期間所属クラブリーグ出場得点
2019-22FC町田ゼルビアJ2リーグ116試合7得点
2023-24鹿島アントラーズJ1リーグ47試合1得点
2024-25マインツ05ブンデスリーガ34試合1得点
2025-26マインツ05ブンデスリーガ27試合1得点
SUMMARY

岡山県津山市出身の佐野海舟は、町田ゼルビアでJ2を4シーズン戦い、鹿島アントラーズを経て2024年にマインツ05へ移籍したボランチだ。ブンデスリーガ初年度でデュエル勝利数209回・走行距離394kmのリーグ1位を記録し、クラブの6位フィニッシュに大きく貢献。2025-26シーズンもリーグ全試合先発を続け、カンファレンスリーグでも欧州の舞台を経験している。日本代表では遠藤航の後継者として期待され、A代表11試合を記録。弟の佐野航大とともに32年ぶりの兄弟代表入りも話題に。2026年W杯では日本の中盤を支える「盾」としての役割が期待される。