「自分は試合中に血を流すというのが目標でもある」

植田直通(31)はかつてそう語った。2016年の段階で顔面を69針縫っていた男の言葉は、冗談ではない。身長186cmの鋼のような体を持ちながら、50m走6.1秒の俊足を誇る。闘志と身体能力を兼ね備えた「闘将型CB」——それが植田直通だ。

プロフィール

名前植田 直通(うえだ なおみち)
生年月日1994年10月24日(31歳)
出身地熊本県宇土市
身長186cm
ポジションDF(CB)
現所属鹿島アントラーズ
代表歴日本代表(2017年〜)

「こいつが守備で負けたのを見たことがない」

熊本・大津高校時代の植田について、元チームメイトの豊川雄太はこう語っている——「大学生でも、プロでも吹っ飛ばしていた」。

高校3年間で主将を務めた植田は、2011年のU-17ワールドカップに出場。5試合1得点でチームのベスト8進出に貢献した。本来は大学進学を希望していたが、この世界大会での経験がプロへの覚悟を固めさせた。

浦和、横浜FM、川崎Fなど複数のJ1クラブからオファーを受けた植田が選んだのは鹿島アントラーズだった。2013年、プロキャリアをスタートさせる。

鹿島アントラーズ:若き闘将の台頭

鹿島では加入2年目からレギュラーに定着。2016年のFIFAクラブワールドカップではレアル・マドリード相手に堂々と渡り合い、世界にその名を知らしめた。空中戦の勝率の高さと恐れを知らないタックルで、鹿島の守備の要として君臨した。

欧州で磨かれた「総合力」:ベルギー、フランスを経て

2018年夏、鹿島からベルギー1部のサークル・ブルッヘへ完全移籍。2年半でリーグ55試合に出場した。

しかし植田は「この環境にいては、自分の成長がないかもしれないという危機感をずっと持っていた」と振り返っている。成長への渇望が次の一手を促した。

2021年1月、フランス1部のニーム・オリンピックへ期限付き移籍し、その夏に完全移籍。フランスリーグの技術力の高い攻撃陣と対峙する中で、ポジショニングと読みの精度を磨いた。

鹿島への帰還——そして2025年Jリーグベストイレブン

2023年、原点である鹿島アントラーズに復帰。欧州で培った経験を還元し、守備のリーダーとしてチームを牽引した。

POINT 1 2025年Jリーグベストイレブン——国内復帰後の「証明」

2025シーズン、植田は全38試合にフルタイム出場し2得点。チームの優勝を守備の柱として支え、Jリーグベストイレブンに初選出された。JPFAアワード2025でも鈴木優磨と並んでベストイレブン入り——国内でプレーする選手2名同時受賞という史上初の快挙だった。

POINT 2 50mを6.1秒で走る「闘将型CB」——強さと速さを兼備

身長186cmの恵まれた体格を持ちながら、筋肉量・体脂肪率・筋肉指数など6項目すべてでU-22日本代表トップを誇っていた植田。強烈なプレスとフィジカルコンタクトを得意とし、空中戦・対人戦で圧倒的な強さを示す。好きな選手が守備の英雄カルレス・プジョルというのも納得の、格闘的なスタイルだ。

POINT 3 「年中夢求」——31歳の闘将がW杯の舞台を目指す

母校・大津高校のスローガン「年中夢求(つねに夢に向かい続ける)」。先輩の谷口彰悟も30代でW杯を勝ち取った。2025年のJリーグでMVP級の活躍を見せた植田には、北中米の大舞台で日本の守備を支える力がある。

選手経歴

年度所属クラブ出場得点
2013-18鹿島アントラーズ(J1)130試合5得点
2018-20サークル・ブルッヘ(ベルギー)55試合2得点
2021-23ニーム・オリンピック(フランス)48試合1得点
2023鹿島アントラーズ(J1)30試合1得点
2024鹿島アントラーズ(J1)38試合3得点
2025鹿島アントラーズ(J1)38試合2得点

「血を流す」覚悟を持つ男が、W杯を目指している。2025年のJベストイレブンという証明を携えて。植田直通、31歳——その闘将の物語は、まだクライマックスを迎えていない。